森林の重要性


固有効果と対症効果

 「なぜ緑(森林)が必要?」かと質問される。しばらく考えて、「見ているだけでも気持ちがいい、 心が和む」と答える。これは理屈抜きの気持ちの問題、メンタルな効果、実はこれが森林の効用の本質 で、人間の本能にかかわる他のものでは置き換えられない森林(緑)固有の効果だと言いたい。
 これに対し、悪化した生活環境を緑(森林)を使って改善しようとする考え方があり、その効果を対 症効果という。例えば森林をつくって騒音を防ぐとか、極端な場合、工場からの汚染ガスを樹林に吸わ せて空気を浄化しようといったものがそれである。
 今日の悪化した環境下にあって、世論では「環境が悪いから森林が必要」と問われているが、これは 大きな錯覚である。森林を対症効果としてとして使わなくてもいいような固有効果だけが満喫できる 環境をもつことが本質的に大切で必要なのである。

(以上、社団法人全国林業改良普及協会の森林インストラクター入門書より抜粋)

効用をいくつも兼ねる

 1つの森林から複数の効用を重複して得られることも森林の環境保全的効果の大きな特徴である。 たとえば、騒音を防ぐ場合、防音用の森林を育てるには、時間がかかる。それよりは、コンクリート の防音壁を作る方が手っ取り早いし、面積もとらず、防音効果も大きい。しかし、コンクリートの壁 は防音だけにしか働かない。 それが気象を和らげてくれるだろうか、森林より優れた景色をつくるだろうか、それを見て心が和む だろうか、それどころか、非常時に避難する人々の妨げになるかもしれないのである。

(以上、社団法人全国林業改良普及協会の森林インストラクター入門書より抜粋)

水源涵養効果

 よい森林とは、良い土壌が発達している事である。落葉枝を餌に土壌微生物、それを餌食する生物 がそれを分解し、スポンジ状の多孔質土壌ができる(団粒構造)。 これによって降雨直後でも雨はこのスポンジにゆっくり浸透し、河川が急増水することがない。 また晴天が続いても容易に渇水しないのである。これは、有機物を供給する植物、それを噛み砕く 小動物、さらにそれを分解する微生物たちの共同作業の優れた成果である。 そして、この土壌は有害物質も吸着し、わたしたちに清洗された水を命・食・住等に、恵んでくれる のである。
 これが、マイカー等の排気ガスによる酸性雨で土壌の微生物が死に、 健全な森林が出来ずに立ち枯れしているのが日本の山林の現状です。
世界的に見ると、毎分サッカーグラウンド1つの大きさの森林が消滅し土砂崩れや洪水が 頻発しています。

(以上、sato)

激化する森林破壊と二酸化炭素の大放出

 現実問題として近年の化石燃料の燃焼(工場・自動車等)は、炭素にして年間55億t、森林破壊 による炭素開放が年間30億tであり、二酸化炭素の濃度は確実に上昇している。結果として、極地 の氷融解、はたまた砂漠化、大洪水等異常気象を誘発し「温室効果」によって将来、人類の生存が 可能か危惧されている。
 森林は、光合成により大気中の炭素を大量に取り込み蓄積している。それと同時に同量の炭素が 夜間の植物の呼吸と生物の呼吸、微生物の分解等によって大気中に戻されるのが本来の姿といえるの だが、加速度的に激化する森林の破壊(年間1,700万ha=毎分30ha [ha=10,000u] )は、 大気中へ炭素を大放出しているのが現状である。

(以上、sato 2001.12.3)
現況:炭素開放が年間30億tであり→77億tに達しています。
(以上、sato 2009.6.13改訂